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気まぐれにミックスする技

お茶は天候、土壌、職人の知恵によるものである。高煜程の父親は製茶工場で下積みから、ブレンド茶を作る技を持つ職人になった。ブレンドウィスキーを作ると同じように、産地や種類が違うお茶は一定の割合でミックスされると、新たなブレンド茶が生まれる。職人は勘と経験を活かして割合を見計らったり、五感で香り、色、舌触りなどを調整したりすることで、お茶の質と味の向上を図る。

80歳の高齢だが、鋭い感覚が昔のままな父親は、常連客に信頼を置かれている明山の良質さの理由が、お茶には親子職人の経験と工夫を込められたことにあると語る。現在、四代目に至った明山は、顧客一人ひとりに自己流のブレンド茶を楽しんでもらうように、ブレンド茶の技を広げようと決めた。

常連客に70歳以上の女性客、施さんがいる。バドミントンチームの隊長を務め、運動後にいつもメンバーとお茶をするので、毎回2、30斤買うという。責任を感じるため、どのお茶も必ず味見し、香り、喉越し、胃に優しいかなどにいろいろこだわっている。そこで、父親はお茶の特性を活かし、好みの味を見つけることを教えた後、バドミントンチームならではのブレンド茶が作られた。施さんがつくったお茶は、どんな季節に飲んでも健康にやさしいだけでなく、メンバー皆の好みも配慮されているので、受けがいいという。

2012年に、「明山茶集」という新たなブランドが打ち出された。各産地のエキスと職人の工夫を凝らした明山のお茶は、「市販の茶飲料に満足せず、自分の好みにこだわり、組み合わせ方を学ぶと同時に、お茶のことも少しずつ分かってくる」という若い世代のミックスの哲学を伝えようとしている。昔、子供だった高煜程がもう成人したが、年季が入った評茶台はブレンド茶を展示する新しい役割を与えられ、店の重宝とされている。

企業や個人客のニーズに応じたブレンド茶を作るうえ、今店では特殊な味が味わえる「明山茶集」の商品を買うこともできる。ティーパックであれ、茶葉であれ、気軽に淹れると、季節の風味を楽しめるという明山流の哲学が、誰にでも自分なりにお茶を理解してもらえる。

生活に取り込まれるお茶

ある男性の外省人年配客が十数年以来、体調と聴覚が衰えていても、毎月必ず香片茶(ジャスミン茶)を買いに来るという。何回も店を訪ね、父親と知り合いになったが、違う言葉でしゃべる二人とも耳が遠いため、いつも声を上げて挨拶しあう。長い間会っていないと思ったら、ある冬の日に、香片茶を買う夫婦が店にやってきた。お父さんがいつもここのお茶を買って、ドイツに住んでいた主人と私に贈っていてくれたと奥さんは言う。90歳超えの父が亡くなったが、音楽を教える娘は今でもジャスミン茶の香りを通して、父のことを偲ぶという。この話から、思いを繋ぐことができる明山のお茶の暖かさが伝わってくる。

昼間に飲んだり、夜に友人とお酒の代わりに味わったりするお茶。生活のリズムと気分に合わせ、いつでもお茶を味わうひとときである。16世紀の日本茶聖、千利休曰く「茶道とは、お湯を沸かしてからお茶を淹れ、そして味わうといったことである。」道具や儀式にこだわる必要がなく、良いお茶を気軽に淹れるだけで、誰もが暮らしの中でお茶を楽しむ達人である。